豚の泪
人でごった返す通りに、夜店が並んでいる。
いわゆる「ゲテモノ」や、串焼きや、おみやげものや・・・。
頭上にはあちらこちらに例のオレンジ色の玉電球がぶら下がって、人々の頭上から、売り物である食べ物や品物を照らしている。
怒声にも近い、私の知らないどこかの国の言葉と、人々が行き交う中、私は足を止めて、ある一点をみつめている。
頑丈そうな台の上に横たわった、巨大な豚。
大きな大きな豚の胴体は、長く寝そべっているように見え、豚のお腹はほぼ空洞。お腹の中に何か詰め物をして、この後焼かれる。
この地方独特の料理なのかもしれない。
豚はとにかく巨大で、一人の女性が何を怒鳴りながら内臓が少しだけ残っているお腹に何かを詰め込んでいる。
詰め込む作業はまだ始まったばかりで、胴体の中にはまだまだ余裕がある。
あのお腹にいっぱい詰めるにはあとどれぐらい時間がかかるのだろう。
と考えながらよく見ると、驚いたことに豚は生きていた。
お腹が静かに呼吸のリズムを刻んでいる。
豚は新鮮でなければいけないという理由から、生きたまま、何かの方法で身動きがとれないように横たわらせておいたらしい。
それにしても、内臓がほとんどとられてお腹の中は空洞なのに生かしておくなんて事ができるのか。
私が通り越しにじーっと見つめる中、豚はおとなしく詰め物が終わるのをじっと待っている。
つまり、死を待っている。じっと。
詰め物の準備が終わったらしい。
横たわっていた巨大な豚は、どっしりと重たくなったお腹を閉じられ、詰め物を入れるために裂…

