ジンクス。

私の車は、自慢じゃないけど買ってから10年(いや、これは自慢になりますね。日本から来る友人に10年乗っていると言うと例外なくびっくりされるので。笑。でもサイパンの在住者には滅多に驚かれない。笑)になるので、ココ数年は修理費でかなりの出費がある。
こっちを直したら今度はこっちも、というふうに、あっちこっちにガタが来ているのだ。
そういう修理費も最近はバカにならないほど大きくなって来ているので、これ以上大きな出費がかさむ前に-例えばエンジンが動かなくなってしまうとかね。-車を買い替えようかという話もしたけれど、やっぱりそこまでは踏ん切りがつかないので、ちょこちょこと直しながら乗っている。

それに長く乗っているのはもちろんの事、あっちこっちガタが来ている車というのも愛着がわくもので、新しい車よりもこの車を乗り続けたいと言う気持ちの方が強い。

ほとんど私が乗っている車なので、当然の事ながら前後のバンパーは傷やヘッコミだらけ。笑
リーさんには未だに「君の運転はどーしてそんなに荒いんだ。」と言われるけれど、私自身はそんなに荒いとは思っていない。

車が来ていないなと思って進むと、いきなり車が現れてガッシャーンと衝突、とか、後ろに何もないと思ってバックすると柱にゴンッ。とか、そういう事が何度か。
「あれ?ちゃんと確認して車は来てないはずだったのに。」とか「あら?柱なんかさっきは見えなかったのに。おっかしいなぁ。」の連続で、コレは運転が荒いとは言わないと思う。

前にサイパンに遊びに来ていた弟分-KCが私の車を見て、「それにしても傷だらけの車だね。」と感心していた。
そら見ろというふうに、バンパーの傷がどのようにして出来たかを説明し始めたリーさんに、「うるさーいっ!バンパーっつーもんは、ぶつけるためにあるんでしょ?ぶつかった時に車体を守るためにバンパーっていうのがあるのよ。そのバンパーをぶつけてナニが悪い?」と反撃して、2人の男をだまらせた私。笑

私にとっては、ヘッコミや傷だらけの、海から吹いて来る風で錆び付いた車体もまた愛し、なのである。

で、そのジンクス。

こんなに愛着を持って乗っている車なのに、リーさんがいない時に限っていきなりボンネットからモクモクと煙が立ち上る、とか、タイヤがパンクするとか、そういう反逆を起こすのだ、この車は。

もちろん、リーさんがいる時にもたまにはそう言う事がある。

車の事は全く分からない私。
運転中にトラブルがあろうものなら、それだけでもうパニック。即、リーさんに電話をかけて「車が大変。」というのがやっとなのだ。
ナントカというゲージを見ろとか、バッテリー液がどうの、とか言われても、さっぱりわからない。
わかんないわかんないわかんない。を連発して、らちがあかないと思ったリーさんが、すっ飛んで来る。というのは数年前までの話。
いい加減、そう言う事にうんざりしている(多分。)彼は、最近はすっ飛んで来てくれる事もない。

どうにかエンジンがかかる事がわかると、「ゆーっくり運転して、いつもの整備工場に持って行きなさい。」というのが、最近のリーさんの反応。
はっきりいって、冷たいのだ。

そして、今日。
子供たちとリーさんを空港で見送って、「さてー、今日から一人の時間をどうやって過ごそうかなー」などと鼻歌を歌いながら空港の駐車場から車を出した途端の出来事だ。
「パッチーン。」と何かが切れる音がしたあと、「ヒュルヒュルヒュル~」という物悲しい音がして、車は止まってしまったのです。
リーさんが出発して、3分後ですよ。ここ数ヶ月、何の問題もなく走っていた車が、リーさんが出発ゲートに入った3分後に。
もうね、リーさんがいなくなるのを見計らったかのような素晴らしいタイミングに、「すごいね、君。」と愛車にひれ伏したくなるような、それよりも、いつも運転してやっている私に反抗するつもりかーっと蹴っ飛ばしてやりたくなるような、複雑な感情。笑

幸いな事に、ヒュルヒュル~の間に最悪の嫌~な予感に包まれた私は本能的に芝生になっている路肩に寄せた。

そして数分、エンジンが止まった途端にジリジリと温度が上昇して来る車内で、「ほらね。やっぱりリーさんがいない時にこーなんだから。チッ。」などと忌々しい舌打ちをしたのだった。

あまりの暑さに汗だくになりながら我に返った私は、キーを抜き取る。
そして深呼吸の後、ホントーに祈るような気持ちで、キーを回してみる。
お願いだから、かかってー。
ここが運命の分かれ道。

やったーっ!かかったー!
が、エアコンがやられてる。
生ぬる~い風が気持ち悪いけど、とにかくエンジンはかかった。

出発ゲートに入ってしまったリーさんはもう頼りにならない。
自分でどーにかしなければ。イザとなれば助けてくれる友人はたくさんいるのだ。多分。笑

と、開き直った私だけどそれでも未練たらしく、空港の中で子供たちと時間をつぶしているであろうリーさんに電話する。
頼りにはならなくても、私が一人でこんなに大変な思いをしているのをわからせなかれば、悔しいではないか。笑

いつもの、言い慣れたセリフ。

「車が大変。」

りーさんは出て来れない事をいい事に、もう他人事。

「僕はもうどうする事も出来ないからね。エンジンはかかるね。ゆーっくり整備工場まで運転して行きなさい。」と、これまたわかりきった答え。

くぅぅぅーっ。

時計を見ると、4時30分。整備工場は5時に閉まる。

急がなければ。でもゆっくり行かなければ。
どうにか整備工場まで行き着く事が出来た。
ここの社長の息子さんである独身のYは前からの知り合いで、いつも彼にお願いするんだけど今日は彼の姿が見えない。
整備工の人に事情を説明すると、案の定、思った通り「イヤな顔」をされる。
車の油と汗にまみれた彼らは、5時が退社時間。
時間はすでに4時45分。もう帰り支度をしている時間なのだ。
これから車を点検すると、5時を過ぎるのは目に見えている。

「あのね、今、うちのだんなを空港で見送ったところで、私一人なの。車がないと明日から大変な事になるし、私が車の事、なーんにもわからないの、あなたたちだってもう知ってるでしょ?(ホントに彼らは私の無知を知っているのだ。ボンネットの開け方もつい最近、彼らから教えてもらったばかりなので。笑)お願いだから、今直して。」
と泣きついていると、Yが通りかかり、一人の整備工に指示してくれた。
これで一安心。
他の整備工がどんどん退社する中、油と汗で全身真っ黒のその彼は、それでも底抜けに明るく鼻歌など歌いながら、部品を替えてくれた。
ナントカという部品を替えて、ナントカは傷んでるけれど今はまだ大丈夫。ちょうどスペアの部品があったよぉ。君、ラッキーだねぇと自分のことのように嬉しそうだ。

こうしてどうにか、家まで帰り着いた私。
一人でこの難関を乗り切った私に、自画自賛の拍手~。笑
イヤな顔もせずに車を直してくれた彼に拍手。
そしてもう一人。
日本に着いてからの電話でもひと言も「車、大丈夫だった?」と聞かなかったリーさんの平静ぶりにも拍手です。ケッ。


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