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うちの長男、Jと次男Aは、うちでトイレに行く時も肩を組んで一緒に行く。 どちらかが「トイレ行こう」と言うと有無を言わずもう片方が立ち上がり、なぜか肩を組んでトイレに向かう。 そして一人が用を済ませる間、2人でトイレの中でぺちゃくちゃと喋り、2人仲良くトイレから出て来る。 次男が長男を誘ってトイレに向かった時の事。 テレビでやっている漫画を見逃したくなかった長男は、次男についてトイレまでは行ったものの、弟が用を済ませるのを待てずに先に居間に戻って来た。 一足遅れて憤慨気味に居間に戻った次男は、もうすでにテレビに夢中になってる長男とテレビの間に仁王立ちで立ちはだかった。何事かときょとんとしている兄を見下ろす弟は、腰に手をやり、一歩突き出した片足のつま先で床をとんとんと叩きながら、兄に向かって言った。 「J! ウィー、アー、ビー、アール、オー、ティー、エイチ、イー、アール!」(We are B R O T H E R!) 何で最後までトイレに一緒にいてくれないの?僕たち兄弟でしょ?という事を上の言葉に凝縮して言った訳だけれども、パンツ一枚の姿でつまさきでとんとんと床を叩きながら「ビー!アール!・・・」と、まるで自分の胸に手を当てて意味をよーく考えてみろとばかりに兄を説教する偉そうな次男がおかしくて笑った。 長男も「ぷっ。」と吹き出し、参ったという感じで「ごめんね。」と言った。 サイパンでは一歩家の外に出れば公用語は英語だが、うちの中では英語は全くといっていい程使わなかった。 子供たちにわかってもら…

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バザーとクリスマスツリー。

ある私立の学校が主催したバザーに遊びに行ってきた。 父兄が用意した手作りのクッキーやケーキ、自分でペイントできるTシャツ、洋服や小物のリサイクル用品売り場に加えて、サイパンに住むアーティストが描いた植物や景色の油絵、手作りのビーズアクセサリーなど、色んな出し物があった。 平日は私は自分の仕事をこなすのに忙しくなかなか義母を外に連れ出せないので(義父は『畑仕事』で一日中忙しい人なので心配なし。)義母も一緒にバザーへ出向いたのだが、帰った早々「気分転換に出かけましょうって言うからどんな楽しいところかと思ったら、アイゴー、ぶつぶつ。」だった。確かにおばあちゃんには小さな子供たちが走り回り、訳のわからない英語が飛び交うバザーはつまらなかったかもしれない。 クリスマスの季節がやってきた。 日本のような季節の移り変わりをはっきりと感じる事は出来ないけれど、サイパンでも季節らしきものはある。 フレームツリーが咲き乱れる、サイパンの夏。 ひんやりした風が通り抜け、空も心なしか余計に高~く感じられるサイパンの秋。 あとは次々と台風の目が島の上空を通り過ぎていく台風シーズン・・・、そのぐらいかな。 ただ最近は一斉に咲き乱れるはずのフレームツリーの花も、咲く時期がまばらで木によって花が咲いていたり咲いていなかったり。 花が散って時期が終わった頃になって一本の木だけ花が狂い咲きしていたり。これも異常気象というやつだろうか。 例えば「匂い」や「音楽」で昔のことを思い出すように、季節でも色んな事を思い出すのって…

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家族狩り

天童荒太という作家の「家族狩り」というハードカバーの本をだいぶ前に読んだ。 物語に描かれているのは、猟奇的とも言える恐ろしい殺人事件で、その動機は、家族に対する異常な愛情、というものだった。事件に関わる人物もそれを取り巻く回りの人たちも、「ごく普通の日常」を送りながらそれぞれ自分の生活を精一杯守ろうとしている人たち、つまり私たちそのもので、ただの小説の中の物語ではない気がしてきた。 その本を同じ作家が新たに5冊の文庫本に分けられた長編として書き直したものを前回日本に行った時に買ってきた。 ストーリーは数年前に読んだのと同じなので大体の展開はわかっているんだけど、小説自体がかなり長くなっているので初めて読む小説のように引き込まれた。 何日間か夢中で読んだおかげで寝不足にもなり、この小説の内容にどっぷり浸かったあまり、昔の友達の事やなんかを急に思い出して、そういう事もブログに書いた。 5巻目も読み終わり、何となく気が抜けてしまった。 小説をパラパラと開いてみて、最初の1~2ページで面白くないな、と本棚に立てたままになってたのを、数年後に何気なく開いてみて、夢中で読んでしまう事ってないだろうか。 私はそういう事がしょっちゅうある。 何でこんなに面白い本を「つまんない。」などと思ったのだろうか、と自分で自分をなじりたくなるような事が。 ハハキギホウセイ(漢字が思い出せない。)という作家の「閉鎖病棟」、だったかな。 母が「涙が止まらなくなる」と日本から送ってくれたのだが、最初の数ページで「ちっとも面白く…

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うちに泊まったゲーノージン

以前、うちに何度か遊びに来た韓国の俳優がいた。 何年か前にも映画がヒットし、他にもそこそこTV番組なんかに出ていた中堅アクション俳優である。 日本の韓流ブームには残念ながら便乗できなかったようなので、日本ではほとんど知られていないと思う。 私より二つぐらい年上で、今は韓国で結婚して息子が二人いると聞いた。 韓国のテレビはほとんど観ないので、最近でもテレビに出てるかどうか定かではないけれど、何年か前に何気なく観たバラエティ番組にたまたま彼がゲスト出演していた。アクションもこなす硬派俳優、という売り込みだったのに、鍛えられて締まっていた彼が見る影もなく太っていて、加えて髪を黄色に近い茶色に染めていて、あぁ、人気も落ち目なのかなぁと思ったりした。 もうだいぶ前の事で、どうやってこの人と知り合ったのかは忘れてしまったけれど、とにかくよくサイパンに遊びに来て、来るたびにうちに連絡をくれ、その度に一緒に食事をしたりビーチへ遊びに一緒に行ったりして親しくなった。 当時は彼は結婚前で、とっても若い『モデルのたまご』だという勝ち気そうな女の子といつも一緒だった。 私とは共通点のなさそうな女性だったけれど、何かにつけ「オンニ、買い物に付き合って。」「私たちだけでお茶飲みに行こう。」と誘われた。 付き合っている彼の立場上、色んな悩み事を誰にでも打ち明ける訳にもいかず、サイパンに住んでいる、それもちょっと普通の韓国人じゃない私には気楽に色んな話をしたいと思ったのかも知れない。 でも年下の女性からそういう相談をされるのも私…

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ココ・レストランで。

隣りの家のジョー夫妻と私たち夫婦でランチを食べに出かけた。 ジョー夫妻の子供たちは13歳と10歳でうちの子供たちより一回り大きいが、皆同じ学校に通っていて学校は全校生徒が50人前後ととても小さいので、まるで兄弟かいとこのようだし、夫妻とは私たちが結婚する前からの付き合いで、偶然家がお隣同士になった事もあり、家族ぐるみの付き合いが続いている。 イタリア系のアメリカ人であるジョーの奥さんは韓国人で、私の大好きなオンニでもある。韓国人だから、とはあえて言わないけれど彼女は日頃から声が大きくてランチを食べてる最中もだんなさんから「そんなに声を張り上げなくてもちゃんと聞こえてるからもうちょっと声のトーンを落としなさい。」と注意され、私もその度に「そーよー、オンニ、ジョーの言う通り。静かに喋りなさいよー。これだから韓国人はうるさいって言われるのよねー。」とゲラゲラ笑う事になる。 今日は特に、サイパンの選挙が終わり政権交代が決まったばかりという事で、 「政権が変わったからってこの島の政府には期待しない方がいいな。」という話に始まり、誰が知事になろうが、結局喜ぶのはこの島のローカル、「今期はうちから知事を出したから次期はお宅の身内に知事をやらせよう」とか打ち合わせしてるんじゃないのぉ?というキツい冗談(そう、これは冗談です。)、私たちガイコクジンには(政権が変わったという事が)良いのか悪いのかさっぱりわからん、でも知事の奥さん、ファーストレディは初のフィリピン人女性という事で、この島に住むフィリピン人は喜んでる…

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音楽を聴く時間。

パソコンに入れておいた、葉加瀬太郎のバイオリンの音を聴きながら仕事している。 葉加瀬太郎は先月、日本に行った時に初めて知った。 「えーっ?知らないんですかぁーっ?」と義妹に笑われた。 日本では知らない人はいないと言う。 最近の私のお気に入りだ。 お気に入りの音楽と言えば、私は映画音楽の作曲家-ハンズ・ジマーの音楽が大好きだ。 10年以上前だと思うが、「グリーンカード」という映画を観て、その内容よりも音楽がとっても気に入ってサントラ盤を購入したのがきっかけだった。 それ以来、「この映画の音楽いいなぁ」と思うと、その音楽担当は得てしてハンズ・ジマーだった、という事が何度もある。 「グラディエイター」や「ライオンキング」の音楽も確か、この人の音楽だったと思う。 うちの母はむか~しむかし、突然エンニオ・モリコーネの音楽に凝った事がある。 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカという映画に出て来る曲である。 ある日を境に、家にあったCDコンポからこの音楽が毎日流れ続け、母はうっとりと目をつぶり、「ホントにいい曲ね~」を連発した。 もう20年も前の事だ。 母は松山千春の歌にハマった事もある。 必ずヘッドフォンをつけて眠りにつく、という時期が母にはあって、ヘッドフォン越しに母にだけ聞こえている松山千春の歌に合わせて、彼女も歌うのだ。 母の耳には松山千春の歌声が響いているけれど、横に寝ている私には松山千春の歌に合わせて歌う母の声だけが聞こえるのである。暗闇の中に響き渡る母の歌声が、地の底から聞こえて来る不気…

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